匍匐前進日記

行政職で森林・林業にかかわってましたが、現在は民間で働き出しました。記事のテーマは業務関連の資格と時々パソコンの話ってところです。So-netから移行してきました(20160620)。移行前のは20100107~。記事は時々加筆修正します。

地下の生態系

今日のNHKスペシャルの再放送で植物の地下ネットワークについて紹介されてました。

www.nhk.or.jp

大阪府堺市の沖合の埋め立て地に森を作る取り組みがあったとき、「宮脇方式」で有名な横浜国立大の宮脇先生を呼んで講演までやってもらってました。

先生が植樹計画にどこまでかかわったのははよくわかりませんが、講演で集まった人に「シイ・カシ・タブ!」と連呼させるのは、なんか新興宗教みたいで、気味悪いと思ったものです。

もう一つ気味悪いなと思ったのは、真砂土で造成した埋め立て地に暖温帯で極相を形成する樹種であるシイ・カシ・タブの苗木をいきなり植え付けることでした。

植物が地中の微生物と共生関係にあることは当時でも知られてたはずで、またパイオニア種から徐々に極相を形成する樹種に遷移していくことは生態学の常識だったはずで、であれば、地中の微生物群も、腐食の少ない土壌でパイオニア種と共生しているものと、極相を形成する樹種と共生しているものとが同じなわけないだろうと思ったわけです。

「土地に合う(適合する)ものを植えるべき」と先生は力説されてましたが、土壌環境の遷移ステージを無視してるのは、なんだか矛盾してるように思えて気持ちが悪かった。

今日のNスぺは私の感じた気持ち悪さの正体をより明確にしてもらえた気がする。

 

気持ち悪いついでにもう一つ。
都市緑化施策として生物多様性とか生態系保全なんかも目的に入ってますが、地植えの植栽だけでは緑化面積が稼げないので、壁面緑化や屋上緑化なんかも面積算定に含めることが多いです。施策で扱う「生態系」が地面より上しか見てないことに何も感じない技術屋の多いこと。人工軽量土壌では地中環境がどうなってるかわかんないでしょう?

「生態系」の定義をぼやかして意図的に目をつぶってることがわかってるんならまだいいんですが。